おたまに―SFX × Magician of Black魔導管理局の黒き死神

「変装分野は、o-ta-kuの十八番」

 

俺達が向かった先は――ショッピングセンター。男の俺が、あまり行かない場所だ。

“あなたって、魔術と料理の才能はあっても、ファッションには疎いのね”

昔、ルミナにつれて行かれたときに、残念そうに言っていたな。

それっきり、彼女に服装の担当を任せている。もちろん、ビィのこともな。

今回の担当は、瑞穂露だ。料理ができるのなら、ファッションも上手くこなせるのだろう。

それにしても……なぜ、変装をすることになったんだ?

「例の場所は、敵がいるかもしれないわ。万が一に備えて、変装をするのが一番よ。――特に、私達はね」

俺の疑念が、顔に出ていたかもしれない。露は状況を説明した。

なるほど。顔を知られているという理由からか。納得している己がいた。そして、もう一つ――。

「なあ、露。どうして、身元不明の俺達にそこまでするんだ?」

「理由なんてあるの?理由を作らないといけないの?」

俺に顔を近づけ、不満そうに言った。ちょ……近づきすぎだっ!

動揺をしていると、露は意地の悪い笑みをした。

「安心して。取って食わないわよ。それに、香島君なら――確信して言うわ。お人よしだしね」

……香島質疑か。どんな男か、会ってみたいものだな。

そう思っていると、真顔のビィによる、不意打ちがやってきた。

「マスター。私も同類です。あなたに助けてもらってから、優しくしてもらいました」

ビ、ビィ……!?よく恥ずかしいことを言えるな……!

俺はドギマギしていると、露の視点は、ドールのほうへ移動した。わざと、からかいのある口調で。

「へえ〜〜。ビィちゃん、フジカズ君にお世話になっているのね。

これで、お人よしがもう一人いるってことね」

それは、香島質疑に対してのことなのか?俺と比べ見るとは――深い愛情があるように捉える。

……残念ながら、俺は露に対して、それ以上の好意を持っていない。男女のいう恋愛対称にもよらない。

昔、ミリーネによく言われたな……。“鈍すぎるのも、ほどがある”と。

仕方がないだろう?女の気持ちなんぞ、わかるはずがないのだから。

 

試着室で着替えた、俺達の様々な格好。ファッションを決めてくれたのは、瑞穂露だ。

俺はよくある、カジュアル系統の服装だ。魔術展開をする際、身軽のほうを好む。

堅苦しい格好だと、やり場に困る。俺自身、あまり好きではない。

ビィはレースのついた、フリルのワンピースだ。女の子らしくていい。

ツインテールではなく、バレッタで後ろ髪を留め、髪を下ろしている。

そして、最後に――露だ。頭には野球帽。セミロングを後ろに、一つに束ねて。

スポーツウェアを着こなすその姿は、スポーツ青年そのものだ。

赤眼鏡をかけていないのか、精悍な顔立ち。切れ長の瞳には、信念が宿っている。

中性的でなおかつ、完璧すぎるくらいに――男前に見える。

彼女の眼差しが、俺のほうへ注がれる。苦笑交じりに、問いかける。

「……おかしい?」 「いや。男の俺から見たら、男らしく見えるな。……女なのにな」

俺は嘘をつかず、正直に答えた。……これが、もし男だったら、腰を抜かすぞ。

 

 

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