おたまに―SFX × Magician of Black―魔導管理局の黒き死神―
「ma-ni-aのパートナー、ふ・し・ぎ体験」
帰って来るなり、玄関前で、ルームメイトの大歓迎を受ける。
「よお。ストレンジ・ブラックさんよ。遅かったじゃないか」
染め上がった金髪に、深緑の瞳。人懐っこい笑みを浮かべた、同世代の少年――。
馴れ馴れしく話しかけてくるのは、一人しかいない。
「……サイルかよ」チャラくて軽い、こいつ――サイル・アーネット。
普段はふざけているが、実習のときは、頭が切れるほどの行動力を持つ。
「つれないねーー。ともに誓い合った、ブラザーだろ?」
誰がブラザーだ、誰が。何が、ともに誓い合っただ!?内心、突っ込みを入れてしまう。
サイルは、俺の隣に立っている青年に目を向ける。興味深々になっているのがうかがえる。
「隣にいるのは、誰なんだ?」見慣れない客人に、俺は簡単な自己紹介をする。
「香島質疑さんだ。とある事情で、関わりを持ってしまったんだ」
訓練している最中での、突然の出来事の、不意打ちだったけどな。
「とある事情ねぇ……」サイルはそう言って、質疑の頭から足元まで観察をし、たった一言を述べる。
「じみーー」 「サイル!」俺は声を荒げてしまった。
たしかに、ぱっとしないし、ヘタレ草食の代表であるが――いやいや!
本当のことをそのまま言ったら、駄目じゃないか!
「……ロード君、ひどい」質疑は、傷ついた表情になっていた。
しまったっ!つい、本音が出てしまったようだっ!
「あーーあ。謝れよ」サイルのにやついた顔があった。楽しんでいやがる。悪趣味だ、こいつ。
お前も同類……。人のことが言えるかよっ!サイルは大笑いをし、平謝りをする。
「まっ。ロードに、悪気がないんだ。許してくれよ」 「お前が言うなっ!」
代弁する彼に思わず、怒りに満ちる突っ込みを入れた。余分なエネルギーを使い果たしてしまう。
「……わかっている」答える質疑の顔つきは、疲れきっていた。
俺達三人、テレビの前に胡坐をかいて、くつろいでいた。
俺はテレビの電源を入れた。作動したのを確認すると、質疑に頼み事を言う。
「質疑さん、例のあれを」 「そうだったな。説明するよりも、見たほうが早いしな」
思い出したかのように、彼は紺のコートのポケットの中から、黒のメモリーカードを取り出した。
「ゲームでもするのか?」何も知らないサイルは、怪訝そうに問いかけてきた。
今からする意図的なものに、興味本位になっていた。質疑は口元を緩め、短く否定する。
「いいや」彼は大型ゲーム機の挿入口に、メモリーカードを差し込み、スイッチを押した。
画面に映し出すのは、文字の表示。それと同時に、宇宙が鮮明になっていく。
小さな爆発音をし、シャットアウトになった。しばらしてから、画面が白く輝き出した。
そこには、見覚えのある異質な存在――黒貂似の獣人がいた。これが、質疑のいうセーブルか。
実際に会うと、身をすくんでしまうな。畏怖が、俺の心に染みていくよう……。
「わおっ!」サイルは大げさになって、叫んでいた。俺とは反対に、興味深々。
……こいつのことだから、心から楽しんでいるな。
セーブルは俺とサイルを一瞥し、質疑へのダメだしをする。
『またか。お前はいつも、関係のないものを巻き込んでいく……。常に、敵に狙われているのを自覚しろ。
……いや、無理だな。故に、お前のことだから、皆無に等しい』
その口調は、呆れと諦めに近いものだった。台詞の途中は、自分に言い聞かせているし。
まるで保護者だ、この宇宙人。わかりきった上で、発言をしているな。