おたまに―SFX × Magician of Black―魔導管理局の黒き死神―
「秘めたるo-ta-ku、疑念視のAAA+の死神」
俺とビィが出会った女――瑞穂露は、柔らかな印象を持っていた。
が、茶の眼差しの奥に秘められているのは、鋭さと冷徹さの2つ。
ミステリアスで、危険を呼ぶものだ。……油断のならない相手だ。
「摩訶不思議なことが起きても、驚かないわね」
お互い、簡単な自己紹介をした後での、彼女による発言であった。
自分の身に、置かれている今の状況。それに、慣れていそうだな。
「あなた達が、魔法を使うなんてね……何者なの?」
俺達に向けて、素朴な質問をした。一般人らしい質問だな。不思議がるのも無理はない。
「言いたいことはわかるが、それよりもお前の方が何者なんだ?」
俺は厳しい口調で言い捨て、眼光鋭く、彼女を射てる。
「こんな夜更けに一人、危険がつきものです。特に、あなたは若く美しいお方です」
真顔で、感情を含まれない。面を向かって言う、相棒のビィ。……お前も若いだろ?
「……ごめんなさい。愚問だったわね。お互い、知らないほうが身のためね」
露の微笑みは、どこか痛々しかった。俺が言葉を発するよりも早く、ビィが口をはさむ。
「――いいえ。逆に知っているほうが、今後の攻略のときに、双方助け合うことができます。
あなたも、私達にも――メリットがあって良いと思います」
真剣になって、助言を言うドールは珍しい。ましてや、自分の意思で答えようとするところがな。
露は息を呑み、彼女の顔を凝視した。対して、当の本人は無表情で相手を見つめる。
一つの茶色の眼は、裏を探り当てようと目を細める。嘘を見破ろうとしているのがうかがえる。
もう一つの真紅の眼は、真実を映すだけの水面。感情や想いを読みにくくするだけの、ただの鏡。
二つの眼差しが絡み合い――折れたのは、露のほうだった。
「可愛い子に励まされる……なんてね」彼女の表情は、やはり柔らかめだ。敵意が見られない。
彼女と情報交換と質疑応答をし、俺なりに状況を把握する。
目の前にいる女――瑞穂露は、仲間である男の香島質疑を探している。
……闇夜になってなお探すとは、相当、その男に特別な感情があるように思える。
露の話によれば、ハローワークに行ったまま、帰ってこないらしい。
そこへ行くのだが、もぬけの殻……。つまるところ、誰もいない団地だったということ。
手がかりになる場所を探そうと奮闘したが、時間の流れが過ぎていった……。
そして、現在へと至ったというわけだ。しかし、女の夜歩きは、関心しないけどな。
――今度は、俺とビィだ。デュオ司令官から、魔獣発動装置の破壊の依頼を受けた。
探している最中、見えない周波数に近いものに襲われたのだ。
何らかの力が働いたのか。時空の歪みに巻き込まれて飛ばされた。
今ここにいる通路に、堕ちてきた。この解釈が、一番正しいだろう。
そこで、命知らずで好戦的な女――瑞穂露と遭遇した。もちろん、魔獣らも一緒にな。
まあ、何とか退治できたことだし、安心しても良い。
俺達は露に誘われて、彼女の家に招かれた。今夜は遅いということで、一泊させてくれるのだ。
女の家に泊まるのは、躊躇うな……。だが、ビィとの同行のため、文句は言えない……。