おたまに―SFX × Magician of Black魔導管理局の黒き死神

「剣士の魔法使いと、アンチヒーローのma-ni-a」

 

生身の人間から、黒貂の戦士へと姿を変えて。

すぐさま、腰にある武器を取り出し、利き手に持ち替える。

鈍い音を立てた。棒の先端に、白い筋がくねらすように生えてきた。

火花が飛び散っていくそれは、真っ白な電流に帯びた、鞭状のものであった。

蛍光灯の如く、輝きが放たれていく。微々たるものだが、魔力を感じる……。

黒貂の戦士に攻めていく、蒼タバードの黒騎士達。

異形に変貌した彼は、手首をひねっての振りかざしをした。

瞬時、奴らは勢いよく吹き飛ばされた。床に次々と倒れ込んだ。

漆黒の全身鎧の胸元には――線で描かれた、抉られた傷跡が生々しく目立っていた。

金属部分が見え、所々、電気が流れている。あのしなる鞭の効果なのか……。

「貴様ーーーーーー!」リーダーらしき黒騎士の雄叫びとともに、背後にいる黒の軍団が駆け出した。

襲いかかっても、黒貂の戦士による棒状のしなる鞭が炸裂する。

次々と吹き飛ばされ、あちこちに倒れ込んだ。先ほど同様、抉られた傷跡が胸元に残った。

向こう側である黒騎士の群れの、攻めるウォーハンマーの攻撃。

黒貂の戦士は、武器を持つ利き手に、片方の手を上乗せした。

「チェンジ・オーバー!」握りしめた両手の棒が変化し、小ぶりの白銀の大剣となった。

1メートルほどの刀身を持つ、クレイモアだ。

振り下ろす無数の打撃に、大剣の刃で受け止めた。連打した金属音が、甲高く響き渡る。

押しては押され、押されては押して。攻守が延々と続く。

……体育館で、勝手に乱闘をするなよ。両方に置いてけぼりにされた俺は、面を食らった。

ここにいる俺って、あいつらに気付かれていないよな?眼中にないってか?

ああああああ!?せっかくの訓練を邪魔しやがってっ!

もやもやした気持ちを堪え、呼吸を整えた後、静かに立ち上がった。

その際、眩暈をして、ふらついた。さっきの訓練のせいで、疲れと魔力の消耗が激しかったか?

倒れそうになるのを抑えつつ、胸元にあるアクセサリーの鎖に手をかけた。力ある言葉を紡ぎ出す。

「魔術展開」アクセサリーは変形して、背丈以上のあるバスタードソードへ。

両手に構えると、気合いを入れての活を入れる。

「く・ら・い・や・が・れ!似非騎士どもがああああああ!」

身体を大きく動かしての、左右のなぎ払いを行った。

バスタードソードでの、鋭き2つの風圧。闇に染められたそれは、俺のカラーコードである黒だ。

閃光ではない、暗黒の刃。黒貂の戦士の近くにいた、黒騎士達を消し去っていった。

攻撃を終えた瞬間、体中の寒気と貧血が身に降り注ぐ。

俺の体内に熱が浸透した途端、頭痛とめまいと鼓動がいっぺんに襲いかかる。

力が抜け――掴んでいた武器を手放した。バスタードソードが変貌して、元のアクセサリーへと戻った。

魔力を使いすぎた代償で、体の不調に苛まれた。

俺は手先や足が動かせずに、そのまま地べたに座ってしまった。肩で荒い息をし、状況を見る。

こちらに駆け出す、黒貂の戦士の姿が見えた。俺の元へ辿りつくと、しゃがむ体勢になった。

「だ……大丈夫か!?」 「あ……ああ」

彼の気遣う声に、俺は疲れ切った返事をした。黒貂の戦士は俺に対して、素直な感想を述べる。

「魔法を扱えるなんてすごいな……。それだけじゃない。剣の腕も申し分ない」

その賛美には、憧れと好奇心が含まれている。何だか、照れくさいな……。

そんな思いとは裏腹に、ぶっきらぼうな台詞を吐き捨てる。

「そ、そういうあんたこそ、やるじゃないかっ!み、見かけによらず、戦士なんだなっ!」

あまり、褒められたものじゃないな。と、その後に気づいた。

「……君のおかげで、助かったよ。どうも、ありがとう」

フルフェイスになっていて、彼の表情を読み切れないが、穏やかな感じだな。

面向かって言われると、恥ずかし――うん!?

彼の背後に、ウォーハンマーを振り下ろそうとする黒騎士がいた。

「危ないっ……!」 「――――!?」

俺の危険を知らせる言葉に、黒貂の戦士は振り返る前に硬直していた。

反応の鈍い彼と、攻撃寸前の黒騎士。明らかに有利なのは、後者だ。

ま、まずい……!こういうときに、体が動いてくれれば……!

そのときだった。複数の魔の矢が、がら空きになった黒騎士の背中に突き刺さった。

俯きになって、ゆっくりと倒れていった。矢によって埋め尽くす背中。

そこには、金属部分が露わとなっていた。俺達二人は、攻撃をしたものの正体を探った。

腰まである灰色の長髪。切れ長の茶の眼。紫の軍服を着たその色男は、紛れもない――。

「げっ……!デュオ司令官……!」 「助けてやったのに、幻滅すんなよ」

露骨な顔をする俺に、口元が緩めて止まない男――デュオ・クローヴ。

ペンダントで変換した、弓矢を両手に携わって。正直、会いたくない相手だった。

 

 

 

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