#twnovel 09

 

◆緑の指輪を私にくれたあなたは、私をどう思っているのか。こんなにも素直になれない、ひねくれ者の私を、ここまで愛そうとするなんて。よっぽどバカなのね、とまた口から出るひねくれた言葉。でもあなたは、笑いながら私の頭を撫でるだけ。その大きな手には、私と同じ指輪が光る。(12.12.11)

 

◆花はいつか枯れるもの。なら、世界は? と、問いかける少女は無垢な瞳を僕に向ける。世界はね、続く言葉に少女の瞳は大きく開かれる。そう、世界はその瞳の中のもの。だから、君の世界が終われば、全ての世界が終わるのさ。少女の頬は、冷たい。(12.12.11)

 

◆全ての鉄壁を撃ち破るのが君の銃だとしたら、君を守る鉄壁は何処にある? 強く凛々しい君は、一瞬の弱さも他者には見せない。もちろん、他者には僕も含まれる。なら、この黄色の盾を、君の強さを守るためのものとしよう。本当は誰よりも、優しく弱い君のために。(12.12.10)

 

◆赤い剣は熱い意志を灯していた。誰にも負けぬ、という言葉に偽りはなく、今まで現れた敵はすべてその剣の前に散った。自分の思いを曲げない黒き瞳は、戦いの場を躊躇いなく進む。それが自らの進むべき道であると信じ、彼は進んだ。赤い剣は戦の炎の中で、ひときわ輝いた。(12.12.09)

 

◆白い矢が、彼女を貫く。それでも彼女は自らの身体に出来た傷に目を向けずに平然と生きている。その傷に触れようと手を伸ばせば、彼女は俺を拒絶する。彼女は、自らが弱い事を否定したがっている。白い矢が、彼女を貫いた。彼女が自らの弱さに気づくまで、あと、どれ程?(12.12.08)

 

◆黒い刃が裂くのは、何だ? 己の過去か、憎悪か、目前の敵か。身体の奥にある小さな裂け目から、血が滲む。痛みは伴わない傷に目を向けず刃を振るう。相手の瞳に映る自分が、敵と同じ姿をしていることに気付いたのは、目前の命の灯火が消えた時だった。(12.12.08)

 

◆白い雫が落ちてきた。吐き出す息も白く、空も白い。失われた色を取り戻そうとするように街は明るく華やいでいる。白い雫、道を白く染めて、人々の足跡だけをはっきりとさせる。白い道、華やぐ街。不釣り合いな色たちが、冬の訪れを教えてくれる。(12.12.06)

 

◆涙はあの海と同じ味がした。それはヒトが、生命が、海から誕生したことを忘れさせないためなのかもしれない。生きていると言うことを示すためかのかもしれない。冷たい雫に温もりを与え、まだ生きよ、と誰かが言っているのかもしれない。涙が落ちる。私はまだ、生きている。(12.12.05)

 

◆本当は全部、いらないものだった。手も足も、目も耳も鼻も口も、みんな、いらない。誰かを傷付け不快にするぐらいなら全部捨ててしまえばいい。簡単な話なのに、簡単な事なのに、気持ちだけが捨てられない。まだ、捨てないで、と、身体の奥が叫んでいる。生きたい、と叫んでいる。(12.12.04)

 

◆半分の夜が、私を呼ぶ。まだ此処に居ても良い、まだ前に行かなくても良い。足に絡み付く影は、過去にすがる私の手に酷く似ていた。けれど、と私は首を振る。私は朝を迎えに行かなければいけない。私は前に進まなくてはいけない。胸に手を当てる。胸の鼓動、朝を迎える音が聞こえた。(12.12.03)

 

 

 

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