#twnovel 05
◆一方的な感情はいつも自分優先で、隣にいるあなたの姿さえも正しく見せてはくれない。好きだと言えばすべて解決すると思った? 私の思いに気付かないくせに。あなたと私の好きという言葉の意味は違う。だからあなたにわからせてあげる。私の好きって思い、胸に、痛いほどに。(12.11.07)
◆俺はこんな事の為に生きてきたのではない。銃を握ったのは正義の為だったのに、弾丸を放ったのは自分を守る為になっていた。だが、あいつは愛する人の為に戦うと言った。それが正義だとしたら、俺の戦いは間違い。なら、俺の正義はあいつの正義だ。安堵した俺の心臓に、弾丸が、(12.11.06)
◆自分の幸せを求める分、誰かの不幸を願うらしい。私はそんな大人になりたくない、と誰かの為だけに生きていた。なのに、貴方が私の前に現れてから、私は望んでしまった。貴方の隣で幸せになりたい、と。貴方の隣にいるあの女が、不幸になればいい、と。(12.11.05)
◆嘘吐きは幸せにはなれない。君はいつも遠い目でそんな言葉を零す。嘘吐きな君、顔は幸せを求めている。「ならいっそ、僕と幸せになろう」唇を重ねた後の言葉は偽りのない、本心。きっと君にも伝わっているはず。目の端に光る輝きは本物の光にしか見えないから。(12.11.04)
◆言葉って、すごいね。見えないし届いてるかどうかもわからない。なのにこんなにも力を持っているのさ。笑っちゃうね。ほら、そんな怯えた目で僕を見てさ。武器なんていらない。君を傷付けるには口から発せられるこの言葉だけで十分なのさ。(12.11.03)
◆痛い。胸が痛いし苦しい。何でこんなに辛いの? わからないよ、見えないんだから。痛い、痛い。痛くて痛くて、辛くて苦しくて。見えないナイフが突き刺さる。痛くて助けてほしいのに、見えないナイフは身体の奥底を傷付ける。痛い、助けて。言葉のナイフは心を切り刻む。(12.11.03)
◆夢を見させてください。私の隣にあなたがいるという夢を見たいのです。関係など必要なく、あなたが隣にいるだけでよいのです。大好きな人、私の隣にいてください。その距離で伝わる温もりで、幸せな夢を見させてください。(12.11.02)
◆果実は誰が甘いと言った。俺の知っているそれは甘さなんて一切ないぞ。辛さしかないぞ。「ぐだぐだいってんじゃないわよ、早く行くわよ」まるで可愛らしい笑みも見せずに俺に言う、果実の名を持つ彼女。横顔に見える頬の赤さは、君の名の、あの甘い赤い実とよく似ている。(12.11.02)
◆寒いな、と隣からかけられた声に少年は表情を歪ませる。何を言ってるんだか、と返す気力は朝からないので、ため息で返事をした。息は冬の空気に当てられて白く染まる。朝早くからご苦労だな、と笑う彼の息は白くない。彼の姿が消えた途端、幼馴染みの喧しい挨拶が少年の耳に響いた。(12.11.01)
◆「Trick or Treat?」やたら発音よく、僕に言う少女。パーティーにこんな子、参加してたっけ。疑問を抱きながら、彼女にキャンディを渡す。包帯で隠していない左目を細めて楽しげに彼女は笑う。「よいハロウィンを」ひらひら手を振り、彼女はハロウィンの夜に消えた。(12.10.31)