その色は、この世界には存在しないという。

バイオレット中和締結

 

「・・・へえ、お別れですか」

「うん。」

僕が、尋ねると彼女は冷静にそう言った。

「だって、私を愛してくれてないんでしょう?」

彼女の問いに、僕は頷くしかできなかった。彼女に恋愛感情を覚えた事はない。元々、僕は恋愛というものを感じた事が無いから。

「何でかしら。」

「僕にも理解できないね。」

「君のそう言うところが嫌い。」

ぴしゃりと、冷たい言葉を浴びせられた。冷たいなあ、と言うが彼女は当たり前よ、と答えた。

「だから、別れたいの」

「へえ。」

「人を観察するように見るところ、大嫌い」

図星をつかれてしまったので、いいようもない。ああ、そうですか、としか言えない。

「・・・私のこと、好きになってくれないんでしょう」

少しだけ、泣きそうな顔をして彼女が言った。何でこんなにも表情をころころと変えれるのかが疑問である。

「そうだねえ」

「・・・嫌い」

ぱしん、と僕の頬を彼女が強く叩いた。わずかな痛みが僕の頬に残る。

「・・・そうですか」

僕がそう言ったときには彼女の姿はもうすでになかった。ガラスに映った僕の姿は少し間抜けなものだった。頬の色が赤から薄い紫色に。

その時、頬から涙が落ちていることに気付いた。

 

もう遅すぎる バイオレット中和締結  恋心は結ばれていたのに

 

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